正解を探すのではなく、視点を増やす。多角的な思考で、人生をチューニングしよう。

部下の叱り方と子どもの叱り方の共通点。管理職と親を往復して見つけた「視点の増やし方」

「また、やってしまった……」

夜、静まり返ったリビングで一人、今日一日の出来事を振り返ることがあります。 寝室では、小5の長男をはじめ3人の子どもたちが無垢な寝顔を見せています。数時間前、宿題が進まない彼に対してつい強い口調で「なぜやらないんだ!」と声を荒らげてしまった自分を思い出し、胸がチクリと痛みます。

そして同時に、昼間の学校での光景も重なります。 管理職として、期待していた成果を出せなかった若手教員に対し、指導という名の「叱責」に近い言葉を投げかけてしまったかもしれない。

「正解を探すのではなく、視点を増やす」

このブログのコンセプトですが、こと「叱る」という場面において、私たちはつい「自分の正解」を相手に押し付けようとしてしまいがちです。しかし、中学校の教頭という教育現場の最前線に立ちつつ、家庭では育ち盛りの子どもを持つ親として生活する中で、私は一つの確信に至りました。

それは、「部下の育成」と「子どもの教育」における『叱り方』の極意は、驚くほど共通しているということです。

今日は、その共通点から見えてきた、私たちの人生を少しだけ楽にする「チューニング」の方法についてお話しします。

目次

心理的安全性が土台になければ、言葉は届かない

かつて、私は中東のシリアに駐在していた時期がありました。 文化も言語も異なる環境で、現地のスタッフと協力して仕事を進める。そこで痛感したのは、「この人は自分のことを尊重してくれている」という安心感がない限り、どんなに正しいアドバイスも相手の心に届かないという事実でした。

これは、日本の職員室でも、私の家庭でも同じです。

部下や子どもを叱る際、多くの人は「内容の正しさ」にこだわります。しかし、受け取る側が「攻撃されている」と感じて防御反応を示している状態では、言葉は脳の入り口で弾き返されてしまいます。

叱る前に、まずは「聴く」。 「何か事情があったの?」「今の状況をどう感じている?」 ほんの数十秒の対話でいいのです。相手が自分の言い分を吐き出せたとき、初めて「心理的なスペース」が生まれ、こちらの言葉が入る余地ができます。

「行動」と「人格」を切り分けるチューニング

教育プロの視点から言わせていただくと、「叱る」のが下手な人に共通しているのは、「行動」への指摘を「人格」への攻撃にすり替えてしまうことです。

  • 子どもに対して:「あなたはいつもだらしない」
  • 部下に対して:「君はやる気がないのか」

これらはすべて、相手のアイデンティティを傷つける言葉です。人格を否定された人は、反省する代わりに「自己防衛」か「自己嫌悪」に走ります。これでは成長は望めません。

私たちがすべきなのは、特定の「振る舞い」に対してのみフォーカスすることです。 「宿題をしていないという『状態』が困るんだよね」 「報告が遅れたという『事実』がプロジェクトに影響するんだ」

このように、問題を個人の外側に切り出すことで、私たちは敵対関係ではなく、共に問題を解決するパートナーになれるのです。これを私は「思考のチューニング」と呼んでいます。

管理職と親の往復で見えた、感情のマネジメント

50代になり、白髪メッシュを楽しみながら「イケオジ」を目指す私にとって、今の変化のスピードは時にめまいがするほどです。かつての「気合と根性」の指導は、もはや通用しません。

感情的に叱りそうになったとき、私は自分にこう問いかけます。 「この発言の目的は、自分のストレス発散か? それとも相手の成長か?」

もし前者なら、一呼吸置く。Notionを開いてメモを打つなり、お気に入りのフィットネスジムでバーベルを上げる自分を想像するなりして、強制的に脳を切り替えます。

管理職として職員に接する冷静さを、家庭へ。 親として子どもを愛おしむ温かさを、職場へ。 この二つの視点を「往復(クロスオーバー)」させることで、不思議と感情の波は穏やかになっていきます。

私たちが本当に願っているのは、子どもや部下を自分の思い通りに動かすことではありません。 「将来、どんな環境に置かれても、自分らしく幸せに生きていける力をつけてほしい」 その願いを軸に据えたとき、言葉の選び方は自然と変わってくるはずです。

明日からのアクション:3つのステップ

明日から、もし「叱らなければならない場面」に出会ったら、次のステップを試してみてください。

  1. 「深呼吸して目的を確認する」:感情で動く前に、相手の「成長」を願っている自分を思い出してください。
  2. 「人格ではなく行動を指す」:主語を「あなた(人格)」から「その行動(事象)」に変えて伝えましょう。
  3. 「アフターケアとしての問いかけ」:「次はどうすれば良くなりそう?」と、未来へ視点を向けさせて終わります。

教育現場の管理職として、そして一人の父親として、私もまだ修行の身です。 正解を求めて苦しむよりも、少しずつ視点を増やして、自分なりの「Fine-Tune(微調整)」を続けていきましょう。

あなたの人生が、より軽やかに、より豊かにチューニングされていくことを願っています。

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